Road to フラッグシップ(1)CFastは本当に高いのか?
フラッグシップ機が欲しい。
かつて、EOS-1D MarkIIIというフラッグシップ機を使っていました。
APS-Hという、当時主流だったAPS-Cよりもひとまわり大きなセンサー、1010万画素というほどよい画素数、連続撮影枚数110枚で、約10コマ/秒の高速撮影。
プロがオリンピックなどのガチな現場で使っているのと同じカメラという、言い訳のできない機械はずっしりくる重さもあいまってテンションが上がるカメラでした。
時は流れ。
EOS-7D MarkIIの直接の後継機が出ないという話が、EOS 90Dという高速なだけのカメラとして発売されたときに現実のものとなり、さて「次」をどうしようかという思いはずっとありました。一時は「RFマウントのAPS-C機を待とう」と思っていたのですが、RFマウントのキヤノン機がどれもバッテリーの持ちがいまいちで(キヤノンの伝統、ここだけはニコンが羨ましい)、さらにEVFの見え方がどうもしっくり来なかったこと、RFレンズがどれもやたらめったら高かったことから、他の選択肢をいろいろ検討しはじめました。
RFマウント機にはまだ弱点がいくつもありますが、それでもEOS R6は候補のひとつでした。確かにいいカメラだと思います。最新フラッグシップ機であるEOS-1D X MarkIIIのセンサーをベースに、12コマ/秒のメカシャッター、SDXCカードでランニングコストも抑えられるし、スタイルも悪くない。んですが、キヤノンのミラーレスはどれも「バッテリーの持ちが悪い」という共通の欠点を抱えており、バッテリーグリップやらなんやらを揃えるとそこそこ高額になってしまうことが懸念材料でした。
バッテリーについては、キヤノンはぶっちゃけ実体としてマーケティング屋さんなので、ユーザーのツボを80点で突くことと、実態よりよく見せかけることにかけてはピカイチです。EVFも見え味はソニーとダンチによかったし、サーボAFの速度も実に高速でした。ただ、ここらへんをよくするにあたってパフォーマンスを優先するあまりバッテリーの持ちを気にしない傾向があり、そのため連続撮影時間が犠牲になりがちなのはキヤノンあるあるです。
そこで、同じ価格帯に降りてきたEOS-1D X MarkIIの中古が候補に急浮上してきました。EOS R6とほぼ同じ価格で程度のいい中古が出回り始めていること、去年の今頃は問答無用にキヤノンのフラッグシップ機であったこと、バッテリーの持ちも申し分ないことなど、非常に魅力的に見えました。
詳しく調査しようとネットのレビューを読み漁ると、ひとつ懸念材料がでてきました。それは「メディアがCFast+CFのダブルスロットであるため、ランニングコストがばかにならない」ということでした。
CFastは、同時期に出てきたXQDカードとコンパクトフラッシュの跡目争いを演じたメモリーカードの規格で、SDXC UHS-IIを凌ぐ高速さを持つ反面、プロ向け機器でしか採用されていないため高額である、と言われています。
確かに、CFastカードを採用したデジタルスチルカメラは、キヤノンのEOS-1D X MarkIIただ1機種しかありません。ただ、プロ向け映像機器にはCFastカード+SDXC UHS-IIという組み合わせのカメラはそこそこあり、あくまでマイナーなのは「デジタルスチルカメラとして」です。
そんななので、CFastカードは圧倒的に流通量が少なく、基本構造がSSDそのものであるため、確かにSDカードと比べればかなり高価です。Amazon.co.jpでCFast 2.0カードを検索すると、サンディスク・トランセンド・プログレードデジタルといった信頼と実績のメモリーカードメーカーの製品しかない上、同容量のSDカードの数倍のプライスタグがついています。ただ、コンパクトフラッシュとはそこまで大きな差はありません。
ところが、米amazonで検索すると、聞いたことのないメーカーのCFastカードを含めラインナップがそこそこ豊富です(DELKINあたりは映像系ではそこそこ名が通ってるらしい)。そして、PCを自作する人にはおなじみのメーカーもがCFastカードを出しているのを見つけました。しかも、さきほど挙げた有名メモリーカードメーカーのものの半額近い価格で。
そのメーカーとは、シリコンパワー。
名前だと聞くと怪しい感じバリバリですが、実績ある台湾の半導体製品メーカーです。シリコンパワーのSSDは信頼性も高く、価格も値頃で、このメーカーのSSDを使っている人も少なくないと思います。かくいう私も、シリコンパワー製のM.2規格の1TB SSDにWindows10を入れて快調に使っています。
さきほど、CFastカードは中身ほぼSSDと書きましたが、SSDメーカーとしてしっかりとした実績を持つシリコンパワーがCFastカードを出しているなんて知らなかったので、調べてみたところ、評価も上々。価格はSDカードよりは高いもののCFastカードとしては最も安い。そのぶん、書き込み速度が330MB/Secとサンディスクやプログレードのものと較べだいぶ抑えめになっています。
気になる価格は、256GBのモデルで139.99ドル(+送料)でした。同容量でサンディスクだと399.99ドル、プログレードだと299.99ドルと、マジで半分以下の値段です。SSDで実績があるのを知ってるからいいですけどそうでなければ「シリコンパワー」というメーカー名で尻込みするところです。
ちなみに、ラインナップとしては128GB/256GB/512GBがあり、最も大きい512GBモデルでも価格は279.99ドル(+送料+関税)と、プログレードの256GBより安いです。ただし、プログレード製品は日本への発送ができませんので、価格はあくまで相場の参考です。
このシリコンパワーのCFastカード、「Cinemas PRO」という名前からしてどちらかというと映像産業向け製品らしく、4Kでなら必要十分な速度に書き込み速度を抑えてあるようなので、ある意味無理のない設計とも言えるかもしれません。
なので、もし次期デジタルカメラをEOS-1D X MarkIIにするようならこのメモリーカードを導入しようと考えています。さてどうなりますか。
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