Sandyおじさん、メインPCをRyzen5 3600Xでリニューアル(3)NVMe SSDで爆速化!

2020年4月3日

「NVMe SSD」ってなに?

CPU・マザボ・メモリの変更が完了したので、最後の仕上げとして新しいシステムドライブになるNVMe接続のM.2 SSDにシステムを移植します。
M.2というのは、マザーボード上に直接取り付けるちいさなボードの規格で、製品としてはWiFiカードやSSDカードがあります。
なお、見た目は同じながら内部的にシリアルATA接続のものとPCI Express接続のものがあり、互換性がないものもあるそうです。
ちゃんと調べてから買わないと痛い目にあう製品です。

今回買ったのは、SiliconPowerのNVMe PCI-Express 3.0×4接続の1TBモデル。
PCI Express接続モデルはSATA接続のものより高額ではあるものの、速度差は圧倒的なので、こちらを選びました。

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もうひとつ、この製品を選んだ理由があります。
このSSD、記録耐性に優れるTLC(Triple Level Cell)チップ採用モデルなんですね。
SSDの記録は、1セルに1ビットの情報を記録するSLC(Single Level Cell)、2ビットのMLC(Multi Level Cell)、3ビットのTLC、そして4ビットのQLC (Quad Level Cell) までがあります。
1セルに4枚重ねで記録させているQLCは、1セルあたりの書き換え回数が1,000回程度しかないとされ、小さい容量の製品で頻繁に書き換えが起きると早期に限界が来てしまいます。
信頼性と記録回数は1セルあたりの値が増えるほどに急激に低下していくと言われていて、QLCともなるとかなりあぶなっかしい技術になっています。SSDはHDDと違い、回転する円盤や超精密な動作が要求される磁気ヘッドなどを持たないため機械的な故障が起きにくい反面、回転音異常などの前兆を感じ取りにくく、ある日急に読み書きできなくなるという怖さがあるのが嫌なところです。

安価なSSDが最近増えてきていますが、これらはほとんどが耐久性に不安が残るQLCモデルです。SATAモデルで、製品説明に「TLC」と書いていない、1TB1万円ちょっとのモデルはだいたいそうだと思っていいです。「3D NAND」がややこしいですがこれもほとんどがQLCです。
PCI Express接続であれば、通常15,000円レベルのものはQLCなんですが、このSiliconPowerのSSDはTLC。信頼性、耐久性は同価格帯のモデルと比べてかなり高いと言えます。というかスペックからしたらバーゲンプライスでさえあります。SiliconPowerはブランドネームがダサく知名度こそ高くないですがモノはいいです。

SSDからSSDへのクローニング…失敗です!

イチからクリーンインストールするのが確実でPCのリフレッシュとしてはいいんでしょうが、アプリのインストールやらファイルの移動やら設定のやり直しやらの手間を考えると面倒すぎるので、これまでも何世代か行ってきたクローニングで行きたいと思います。3.5インチHDD→Intel 180GB SSD→Sandisk 480GB SSD→そして今回のSiliconPower M.2 1TB SSDです。
無事移動できたらレジストリのクリーニングくらいはする予定。

使うのはEaseUS Todo Backup。無料版でもクローニング機能が使えるいい子です。
さっそくサンディスクの480GBのSATA SSDから1TBのNVMe SSDにクローン開始。リード・ライト500MB/秒くらいのSSDからリード3400MB/秒、ライト3000MB/秒のSSDなのでたぶん速いはず。
当然遅い方の速度が上限になりますが、それだって400~500MB/SecですからHDDとは比べ物になりません。
とはいえどのくらいか見当も付かないので「終了したらシステムシャットダウン」にチェックを入れて横になったら寝てましt

さて、UEFI BIOSから起動順をNVMe SSDに変えて再起動・・・

ダメです!吉田製作所

ブルースクリーンで止まります。
エラーコードでググってみると「メモリエラーかシステムの破損」とのこと。
とはいえSandiskのSSDでは問題もなく起動して使えて、クローニングした方だとブルースクリーン。
なので、まず間違いなくメモリではなくシステムの破損、というかクローニングの手順のどこかに誤りがあって失敗したんだと思います。

いろいろググってみると同じようにクローニングに失敗している人の記事が上がっていたのでこれらを参考にしてやり直しです。
だるい。

ソフトを変えてみました。成功です!

翌日。
気を取り直して、今度はAOMEI Partition Assistant(シェアウェア)で再チャレンジ。
いや、別にEaseUS Todo Backupが悪いわけじゃないです。ただなんとなく変えてみたかったんです。あと、このソフトにお金払ったのを忘れてて、もったいないから使ってやろうと。
ちなみに失敗した理由はなんとなく分かっていて、おそらく起動OSの入ったドライブを起動したままクローニングしたからです。
前回のクローニングのときはEaseUS Todo BackupでもちゃんとUSB起動かなんかにしてやったような記憶がおぼろげにあるので、不注意で起動中のシステムドライブをクローニングしたのがよくなかったんだと思います。

シンプルでわかりやすすぎるインターフェース

AOMEI Partition Assistantのクローニングは起動したままできるものとできないものがあり、システムドライブのクローニングは再起動ののち「Partition Assistant PreOSモード」と呼ばれるテキストベースの画面で行われます。画面はめちゃくちゃシンプルで、進行度がパーセントで示されるだけ。
まったく当てにならない残り時間表示さえありません。あまりにシンプルで進行度に単位(%)もないので、この増えてく数字なんだろうと思ってました。

今回は寝ずにスマホいじりつつなんとなく見てたんですが、400GB程度しかなかったとはいえHDDとは次元が違うので超速でクローニングが進み、15分かそこらでクローニング完了。
ドキドキしながらUEFI BIOSで起動ドライブの設定を変えて・・・

スイッチオーン。キター!

セクターバイセクター(データのコピーではなく記録場所ごとまるっと同じ状態にする方式)でクローニングしたので、完全にそっくりそのままなコピーでできてるはず。なので、これでだめならSSDの初期不良を疑わなくてはならないレベル。
とはいえまぁうまくいってよかった。

サイズの異なるドライブ間でクローニングした際に気をつけないとならないのは、新しいドライブのパーティションサイズがもともとのものと同一になってしまうこと。
今回の例で言うと、480GBから1TBのドライブにクローンしたので、クローン先のパーティションは480GBで作られるわけです。
これは、AOMEI Partition Assistantで「パーティションの拡大」するだけで最大サイズになります。
なお、起動中のシステムドライブのパーティションサイズを変更する作業のため、再起動して 「Partition Assistant PreOSモード」 での作業になります(全自動)。

軽く挨拶代わりのベンチマークで8年の差を実感

もろもろ終わったので軽くベンチを回してみました。
なお、AMD純正オーバークロックソフトの「Ryzen Master」で、電圧と温度から適切な設定をしてくれる「Precision Overdrive」をかけて、全コア4.2GHzで動作させています。純正だけあり無理をしないオーバークロックなのでどんなあなたでも安全安心です。
グラフでは3.8GHzと表示されていますが、4.2GHz設定時のものと読み替えてください。

CPUスコア(Cinebench R15/マルチコア):対Core i7 2600Kでダブルスコアの圧勝

まず、CPUベンチマークのCinenbench R15のマルチコアから。3DCGのレンダリングでスコアを計測するというものです。プリセットされているのは比較対象が古いものばかりですが、更新以前に使っていたCore i7 2600K(SandyBridge世代)の2倍以上のスコアとなる1598を記録しました。また、同じ6コア12スレッドCPU、Core i7 3930K(IvyBridge世代)に対しても1.5倍のスコアを出しており、普及価格の中間グレードにしてはRyzen5 3600Xの性能の高さが伺えます。

i7/2600Kの746→1598にアップ

CPUスコア(Cinebench R15/シングルコア):Core i7 4770Kを20%上回る

コア数が多いだけではないのを示してみせたのがシングルコアのスコア。198を記録し、Core i7 4770K(Haswell/4.4GHz)を20%上回ってみせました。6年くらい前のプロセッサではありますが、クロックも4770Kのほうが200MHz高いので、性能の微妙さを多コアでごまかしているプロセッサではないと言えます。

CPUスコア(Cinebench R20/マルチコア):第1世代Ryzen7を上回る

Cinebenchの最新版、R20のスコアでは、6コアのRyzen5が2世代前の8コアCPU、Ryzen7 1700Xを上回ってみせました。Intelとの比較では、2世代前のCore i7 7700Kの1.5倍のスコア。コア/スレッド数も1.5倍なので、正比例ですね。

CPUスコア(Cinebench R20/シングルコア):Kaby Lake世代のi7と同等

シングルスコアでは、2世代前のIntel Core i7と同等のスコアを出しました。また、第1世代のRyzen7からは30%、Ryzen Threadripperからは20%の改善が見られます。

ディスクスコア(CrystalDiskMark6.0.2):連続読み出しは驚異の3400MB超え。書き込みも2800MBに

2.8GBのファイルが文字通り秒でコピー終わるレベル

HDDなどストレージ全般の速度を計測できるCrystalDiskMarkでベンチマークを取ってみると、SATA SSDが500MB/secクラスだったのに対してNVMe SSDは3400MB/secと読み出しで7倍近い速度が出ていました。
試しに4.5GBくらいの動画ファイルをNVMe内でコピーしたところ、コピーダイアログが一瞬だけ見えてすぐ消えました。

とはいえ、この読み書き速度が出るとしたら「同じNVMeドライブ内でめちゃでかいファイルをコピーする時」だけです。アプリケーションの起動がSATA接続のSSDと比べて7倍になるわけでもないです。

SATA SSDからのコピーでは450MB/secという数字を出しましたが、HDDほどのコスパはまだないので、3400MB/secを発揮することはまぁないでしょう。
2TBが15,000円くらいになったら作業用ドライブとして一気に流行るかな。
GB単価が半分になればいいだけなので意外と早く実現するかもしれません。

4年で容量倍、値段半額、速度7倍。

参考までに、Core i7/2600Kの頃にシステムとして使っていたSandiskのExtreme Pro SSDのスコアを張っておきます。これでも十分に速かったんですが・・・時代の流れとは恐ろしい。
なお、2015年6月に29,000円もしたようです。

i7/2600K時代のSSDスコア(Sandisk Extreme Pro 480GB)

M.2はPCのストレージの未来を照らす光

今回のまとめです。
はじめてM.2のSSDを使ってみましたが、この簡便さはすごい。
ケーブル2本を繋がなくてはならず、そこそこスペースも食うSATA SSDと違い、マザーボードのスロットに差してネジ止めするだけと、ノートPCのメモリ増設をするくらいの手軽さです。
重く大きく回転部品があるため故障時期が読めない3.5インチHDDは容量・コスパで並ばれたら消えるなと感じました。
価格面でもSATA SSDとほぼ変わらないレベルに来ていて、3.5インチHDDの8TBと安いNVMe SSDの1TBが概ね同価格なので、意外と遠くない時期に並んでしまうかもしれません。
とはいえチップの実装面がかなり小さいので、どこまで容量を上げていけるかとけっこうえぐい発熱が課題でしょう。SATA接続タイプのだとかなりおとなしい発熱なんですけどね。

というわけで今回はここまで。
次は、取り出した旧メインマシンの再利用を企んでうまくいかないお話です。

あと、今回はCPUベンチとなるCinebench R15とR20、HDDベンチのCrystalDiskMarkだけでしたが、近いうちに実アプリケーションでのベンチマークも取ってみたいと思いますのでお楽しみに。