RAW現像は予想以上にすごかった
先週の土日、川崎市にあるとどろきアリーナに行ってきました。
今季のV-プレミアリーグで台風の目となっているNECレッドロケッツの本拠地での1戦です。
いつもはJPEGで撮影をするのですが、ホワイトバランス合わせにいつも苦労するので、その問題の解消を狙って今回RAW+JPEGの同時記録という過酷なセッティングで撮影してみました。
この方式をこれまでやっていなかったのは、主にファイル容量を異様に喰うということと、後処理がワンステップ増えて面倒そうだからという理由から。
カメラでの処理を一切行わないRAW形式は、JPEG圧縮もしなければ色温度が固定されてもいません。RAW形式について詳しくは以下のリンクを参照のこと。
問題となるのは、スポーツ撮影で高速連写する現場において、調子に乗ってばかすかシャッターを切り続けていると、あっという間に本体のバッファメモリを食いつぶし、それが空くまで撮影ができなくなるケースがあることです。
通常、EOS 1D MarkIIIは、最高画質のJPEGファイル設定にした場合、14枚ぶんのバッファメモリがあります。撮影したそばからストリーミングのようにメモリカードに記録していくので、実際は14連写でバッファフルになることはありません。ところが、RAW画像はファイルサイズが最高画質のJPEGファイルの3倍近い容量で、さらに参照用のJPEGファイルも同時記録するため、実質的に1ショットの画像を記録するのに単純計算で4倍のファイル容量となります。
いくら撮影するそばから記録していくとはいえ、1ファイルあたりの容量が4倍では記録速度はJPEGのみのときとは比べものにならないくらい遅くなるため、これまで使用を躊躇っていましたが、今回、あえて試験的にこれに取り組んでみることにしました。実際のところ画質がどんなもんなのか気になっていたし、ホワイトバランスにはいつもいつもいつもいつも苦労していたので。
で、トップ画像がその回答です。
ISO2000という高感度撮影をするため、暗部にはかなりのノイズが出てしまいます。それを軽減するべく、カメラ側でノイズ低減処理をするのですが、RAWではそういった処理は一切行わず、Photoshop Lightroomのような現像ソフトで後処理することで、より高精度で高画質なノイズ処理を行うことができます。
一般的に、ノイズ処理を施すとのっぺりとした画像になってしまうのですが、RAWから現像した方は、暗部ノイズが相当に低減された上で、シャープさも失っていません。
輝度ノイズの低減設定次第ではさらにノイズを減らすこともできますが、同時にディテールが失われていき、ぺったりとした質感になってしまいます。多少ノイズが残るくらいがちょうどいいかなと思います。
作例だと、輪郭線、目元、そして眉あたりが特に顕著に質が違います。
当然ですが、左側がJPEG、右側がRAWから現像したJPEGファイルです。
いずれも等倍切り出しで、リサイズはしていません。
ちなみに、一切の後処理をしていないRAW画像は、カラーノイズがふんだんに振りまかれており、到底そのままでは使い物になりません（と同時に、カメラのノイズ低減処理のすごさを目の当たりに）。
なので、現像ソフトが必須なのですが、現像ソフトによっては、撮影したレンズの特性データから周辺光量補正や色収差補正、樽型歪み補正などの機能を備えているものもあり、ほぼソフトまかせでも良好なデータが得られます。
今回、2試合で3000ショット弱撮りましたが、バッファフルを常に念頭に置いて撮ったおかげで、肝心なときにシャッターが切れない！みたいなことは起こりませんでした。うん、これならいける。
ただ、SDメモリカードの消費速度はそれはそれはものすごく、1010万画素「しか」ないEOS 1D MarkIIIであったにもかかわらず、32GBのSDHCメモリカードが2枚、ほぼ使い切るという事態になりました。フルセットが2試合とかいう熱戦になったら、さらに16GBくらい使っちゃいそうな感じです。1日で64GB撮影するとかちょっとおかしいです。1日ぶんのテレビ中継をBDに入れても1枚（50GB）で余裕で入るのに。
今回撮影してきた作品は、一部Flickrのほうにアップしているので、これがRAW現像かなー、これはJPEGっぽいなー、というふうに見てみてください。タイトルに「V-プレミアリーグ 2012-13 神奈川大会」と入っているものがそれです。
こんなにキレイにカンタンに撮れるならもっと前にやっときゃよかった。
前の職場でお菓子の写真をよく撮ってたんですが、色を合わせるのにかなり苦心したものです。グレーカードなりを1回撮っておけば色温度はすぐにわかるから、正確なホワイトバランスがカンタンに得られるし。
まぁお菓子に限らずブツ撮りはカラーバランスもさることながらライティングがものすごく重要だから、RAWにすれば万事OKってわけにはいかないんですけどね。