バレーボールを14年撮ってきた素人が撮影設定を晒してみる Ver1.1

2023年4月29日

マニュアルモードで完全固定設定に

つい一つ前のエントリーで、私こんなことを書いていました。

モード:M(マニュアル)
シャッタースピード: 1/1000(固定)
絞り: F2.8(固定)
ISO:自動

https://sitetm.com/2020/12/13/shooting-settings/

この時のカメラはEOS 7D MarkIIでした。
EOS-1D X MarkIIへの世代交代を決めた時期でもあり、交代することを前提に、高感度画質にも強いことからISO感度でバランスを取ろうとしていたわけです。

この設定そのものは決して間違いではないんですが、実際にEOS-1D X MarkIIに変えたところ、APS-Cからフルサイズに変わったことで画角が広くなり、結果として背景領域が広がりました。そのことにより、観客席エリアの明るさに引っ張られるかたちでISO感度がちょっと大きく変化しすぎる傾向が見られました。つまり、背景である体育館の黒いエリアを評価した結果、ISO感度がものすごい上がってしまい、めっちゃ明るい写真がけっこう量産されてしまった…より正確には明るさに大きなばらつきが出てしまったわけです。

この現象への対応方法はふたつ考えられました。さて、どっちにしたでしょう?

1.スポット測光かつ、測光をフォーカスエリア追従にする
2.ISO感度も固定にしてしまう

答え:2.ISO感度も固定してしまう

つまり、こうなりました。

モード:M(マニュアル)
シャッタースピード:1/1000(女子)1/1250(男子)を基本とする
絞り:F2.8
ISO:3200を基本とする

完全固定です。あとは親指AFを維持しつつシャッターを切り続けるだけ。
ある意味めっちゃ簡単になりました。

これを可能にしたのは、やはりダイナミックレンジの広いフルサイズセンサーのおかげだと思います。サーブエリアはコートから数メートル離れるので、すこし暗くなりますが、設定を動かしたりはしません。なぜなら戻すのを忘れるから。

照度が足りない場所を、明るい場所と同じ設定で撮るのでやはり多少(2/3段ほど)アンダー目にはなりますが、ぶっちゃけサーブエリアの深い場所にいる選手はよほど変わったルーティンをしているのでもなければ写真として採用することはないので問題ないです。選手自身も集中するために表情も消すしやや下に目線を落とす選手が多いですしね。仮におもしろムーヴをしていたとしても、RAWで撮っているなら2/3段程度のアンダーはどうということはありません。

シャッタースピードが2通りあるのは単純に女子か男子かです。
1/1000は女子、1/1250は男子で使いました。
男子はやはり動きが力強く、ジャンプも高くスイングも明らかに速いので1/1000だと不足と感じました。なので、シャッタースピードを1/1250に上げて、かわりにISO感度を3200から1/3段上げて4000にしています。断言しますが、EOS-1D X MarkIIのISO4000は確実にEOS 7D MarkIIのISO2500より高画質です。それはもう比べちゃいけないレベルで別格です。

女子バレーの撮影サンプル

ではサンプルです。こちらは、皇后杯女子決勝、東レアローズ vs JTマーヴェラスでの石川真佑選手のバックアタック。ISO3200で、シャッタースピードが1/1000です。

EOS-1D X MarkII, F2.8, ISO3200, 焦点距離142mm
EOS-1D X MarkII, F2.8, ISO3200, 焦点距離142mm
EOS-1D X MarkII, F2.8, ISO3200, 焦点距離142mm

男子バレーの撮影サンプル

そしてこちらがISO感度を4000に上げ、シャッタースピードを1/1250にした撮影サンプルです。
天皇杯決勝、ジェイテクトスティングス vs パナソニックパンサーズ戦での西田有志選手(ジェイテクト)のスパイクです。男子はやはりこのくらい速くしとかないとダメですね。それにしてもEOS-1D X MarkIIの14枚/秒のシャッターは気持ちいいですね。

EOS-1D X MarkII, F2.8, ISO4000, 1/1250, 焦点距離150mm
EOS-1D X MarkII, F2.8, ISO4000, 1/1250, 焦点距離150mm
EOS-1D X MarkII, F2.8, ISO4000, 1/1250, 焦点距離150mm
EOS-1D X MarkII, F2.8, ISO4000, 1/1250, 焦点距離150mm
EOS-1D X MarkII, F2.8, ISO4000, 1/1250, 焦点距離150mm
EOS-1D X MarkII, F2.8, ISO4000, 1/1250, 焦点距離150mm
EOS-1D X MarkII, F2.8, ISO4000, 1/1250, 焦点距離150mm

体育館ごとに最適な設定は変わる

なお、この数値設定は体育館によって変わります。たぶん、会場の最低照度はレギュレーションで決まってるはずだと思うんですが、明るさはけっこうまちまちなので、このシャッタースピードとISO感度は「大田区総合体育館」の設定となります。

個人的な好みでいうと、大田区総合体育館は東京体育館や代々木第一体育館より撮りやすいです。東京体育館や代々木第一体育館は照明の配置が偏っていてコントラストがかなり強く出てしまうのが好きじゃないです。

Division2の試合を開催する体育館は、あんまりこういうこと言いたくないんですがしょぼいところが少なくないので、明るさが絶対的に足りていません。なので、シャッタースピードかISO感度のどちらかを妥協することになります。
たとえば、シャッタースピードを1/800、ISO感度を5000にしたとすると、最初の1/1000&ISO3200に較べて1段分明るくなります。いくらなんでも1段分暗い(=光量が半分)体育館とかあっちゃダメだろうと思うんですが、2階席だとありうるのがつらいところです。

もちろん、できるなら1階席を取りたいのですが、Division2の試合を開催する体育館は、1階に可動席がなかったりアリーナ席といいつつ高低差がなかったりメインアリーナとかいいつつぜんぜんアリーナ構造じゃなかったり、今季だとコロナ対策で1階に席が設定されていなかったりする上、Division1ならほとんどのチームにいる日本代表選手もいないので、よほどの物好きじゃないと足が向きません。とかいいつつなにげに人が入っていたりするあたり、いちおう地域密着を掲げるVリーグの取り組みの成果が出ていると言えるでしょうか。

Division2開催会場での撮影サンプル

というわけでDivision2の会場でのサンプルです。場所は、千葉県のキッコーマンアリーナ。さほど古い会場ではないですが、明るさは十分とは言い難い。
しっかし、分かってたこととはいえEOS 7D MarkIIのISO6400画質、マジひどい。これは、前回の記事の時の設定で、ISO感度で明るさのバランスを取ろうとしていた頃です。ノイズだらけでざらっざらな上、ディテールが溶けてますw

EOS 7D MarkII, F2.8, 1/1250, ISO6400, 焦点距離170(272)mm
EOS 7D MarkII, F2.8, 1/1250, ISO6400, 焦点距離170(272)mm
EOS 7D MarkII, F2.8, 1/1250, ISO6400, 焦点距離170(272)mm

というわけで、現在の撮影設定を書き出してみました。これからも撮影ごとに試行してみて、いい設定があればアップデートしていきます。