まさかのゲーリー・サトウ監督解任

バレーボール男子日本代表監督、ゲーリー・サトウ氏の解任が示すように、日本バレーボール協会はいま、混迷を極めています。

もともと、これまでのすべてをリセットして、世界の標準を取り入れて、まったく新しい日本代表を作るために、わざわざアメリカ人の監督を招聘し、自分自身の目で選手を選ぶこともできずに協会から選手を押しつけられ(旧来の、言い方は悪いが負けることに慣れ始めている連中をだ)、これまでのやり方をがらっと変えた練習と手法を試してきた。

だから、ワールドリーグとグラチャンは完全に捨て石でしかなかった。
1勝もできなかったのは事実だが、そんなもんは最初からわかりきっていたこと。
ワールドリーグはゲーリー監督の初陣だったし、グラチャンは、各大陸王者が集まる、バレーボールにいくつかある世界王者決定戦なのである。
開催国枠という、これも言い方悪いがカネで出場枠買ったような、オリンピックにさえ出られなかった日本とはどだいベースからして違うのである。
開発中のエンジンでF1に出走して勝てるわけがない。
自分自身の目で選んだスタッフでも選手でもないのだから。
そこに結果を求めるほうがどうかしている。

なのに、「勝てなかった」ことの引責として辞任させてしまった。
そして、国際試合で通用しない、言ってみれば国内番長みたいな選手を育ててきた国内リーグの指導者を連れてきて監督に据えた。

そんなのが3年後(そう、1年減ってしまったのだ)のリオデジャネイロオリンピックに出られると? ばかばかしい、ゲーリー・サトウ監督は結果はまだ残せていなかったが、少なくとも2012年にオリンピック最終予選で敗退した日本男子バレーボールを否定してみせた。あのやり方では世界に通用しないことが分かりきっていたから。特に奇策も工夫もなく、「日本のバレーボール」を貫き、そして散った方法を捨て、すくなくとも世界標準と言われるバレーボールがどんなものなのかを教えようとしていた矢先に解任。いやほんと何考えてんだ。

植田バレー、というか日本バレーに染まっていた選手では、「自分の頭で考えてプレーしろ」という要求はハードルが高かったかもしれないし、彼らのバレー人生にはそうした考え方がなかったがゆえに浸透に時間がかかるだろうとは思っていたが、どうやら協会はそもそも理解しようとすらしていなかったらしい。
サッカーじゃあるまいし、監督変えてすぐに結果が出るスポーツじゃないんだから。

新しい才能がいくら芽吹いても、音頭取る大人がスイカ頭じゃどうにもならないじゃないか。
なにより選手がかわいそうだよ。