ハイキュー!!は排球漫画ですよ

バレーボールという競技は、学校の授業で取り入れられているため、「やったことが一度もない」という人が少ないスポーツですが、競技人口が多いかというと、少なくはないけど多くもないという微妙な立ち位置のスポーツです。
野球やサッカーは言うに及ばず、卓球やテニスよりも過去一年間に行ったことがある人が少なく、バスケットボールよりはちょこっとだけ多いというコメントに困るポジションです。
※総務省『平成23年社会生活基本調査(生活行動に関する結果)より

そんな中、バレーボールは、世界大会はテレビ放映があるだけまだ恵まれているほうですが、かつて松平康隆さんという、国際的にも大変名の知られた方が取り組んだことがいまも息づいています。

そのひとつが、メディアを利用した宣伝広告戦略。
この4月から、現在週刊少年ジャンプ誌上で連載中のバレーボールマンガ「ハイキュー!!」がアニメ化されますが、いまを遡ること42年前、「アニメドキュメント ミュンヘンへの道」というアニメーション(制作はあのタツノコプロ)とドキュメントとミックスした番組の企画していたのであります。
ほかにも、ジャニーズ事務所のタレントをイメージキャラクターにして女性層のファンを増やそうとしたり、日本主催の国際大会を創設したり、少女向け雑誌に男子バレーの特集をしてもらってイケメン選手を取り上げるなど、とにかくアイデアマンであったそうです。
そうした努力の甲斐あって、1チームに最低6人が必要な競技でありながら、卓球やテニスに次ぐ人気をいまも持ち続けているわけです。まぁそんだけいろいろやってもそこまでかいと思わなくもないですが。

ともあれ、その「ハイキュー!!」、Vリーグ(これも松平氏の功績のひとつ)とのコラボレーションを進めていて、会場の大型スクリーンでプロモーションビデオを流したり、コラボデーを企画したりと、いまの若年層へリーチするためのツールとして最大限活用しようとしています。
アニメーション自体も、いわゆる深夜アニメではなく、日曜夕方5時というなかなかの時間帯に放映するというもの。
実際、最近のアニメーションでこれだけ女っ気がないのはいまどき珍しいくらい。主人公は男子バレーボール部で、女子マネージャーはひとりいるものの、ドジっ子萌えキャラではなく、無口で口下手でミステリアスオーラを醸し出す、名塚佳織そっくりの声でしゃべる眼鏡女子。

・・・うん、ひとりいれば十分だな(なにが

W主人公で、ひとりは瞬発力、柔軟性、バネ、ジャンプ力とすべてを兼ね備えながら背が絶望的に低いミドルブロッカー。ひとりは180cmでサーブ、スパイク、ブロックをすべてこなす上、天性の才能に恵まれ、おまけにストイックなまでの努力家(になった)の天才セッター。

いまのVリーグ・・・というか日本の男子バレーに欠けているタレントですな。
特にセッターは本当に急募。世界に通用するセッターを日本男子バレーボール界は強く求めていますぞ。
ミドルブロッカーも、いまの代表はやや年齢が高めなので、彼らベテランを押しのけるスピードと高さを兼ね備えた才能が望まれます。

ウィングスパイカーを主役に持ってこないのは正解。
ほっといても主役的なポジションですからね。バンドで言えばギター、野球で言えば4番でピッチャーみたいなポジションのを主人公にしたマンガなんていまさら見たくありません。
セッターってのはやや地味に見られがちなポジションで、野球で言えばキャッチャー、バンドでいうならベースかドラムスといったところでしょうか。
どんなに優れたスパイカーでも、セッターが毎度ばらっばらなボールをトスアップしていたら仕事などできませんし、ドラムスがへなちょこだと他のミュージシャンは調子が狂います。
162cmのミドルブロッカーという主人公、バレーボールとしては違う意味で規格外です。
女子ですら、それなりの強豪校なら160cm台のミドルブロッカーというのは通常ありえませんし、男子ならなおさら。いくらジャンプ力があろうと、瞬発力と反射神経に優れようと、もしかしたらウィングスパイカーはありえてもミドルブロッカーは常識外。
そういう意味では非常にマンガ的ではありますが、190cmでジャンプ力があって俊敏で才能豊かなミドルブロッカーが主人公じゃ爽快感がありません。

あ、でもスラムダンクは高さと身体能力を兼ね備えたドシロウトと、クールな天才が主人公格だったっけ。つまるところ、ハイキュー!!は「宮城と流川がダブル主人公のスラムダンク」みたいなもんだと思っておけば概ね正解です。