私はそれでもEOS R7を待つよ!

2022年1月13日

APS-Cセンサーのフラッグシップを待ち続けて6年

今夏の東京オリンピックがひとまず1年延期になったタイミングで、キヤノンはフルサイズミラーレスの第2世代機、EOS R5とR6を発表しました。
R5は一眼レフのハイアマチュア向け機だったEOS 5D MarkIVの、R6は普及型だったEOS 6D MarkIIのそれぞれミラーレス版後継機というポジションで発表されました。これにより、ソニー1強だったフルサイズミラーレス市場に正面から殴り込みをかけようとしています。

思えばキヤノンのフルサイズミラーレス初号機のEOS Rは実に中途半端な機種でした。どう見ても劣化版EOS 6Dだったにも関わらず30万円のプライスタグをつけて出てきて、α7IIIのいい引き立て役になっていました。そんなのでも売れてしまうのがマーケティング屋たるキヤノンの凄みでもあるわけですが。

その一方で、私がこよなく愛するEOS 7D MarkIIは直接の後継機が出ないままディスコンとなり、公式サイトでも「製造終了機」のカテゴリに移動してしまいました。一応普及型のEOS 90Dをキヤノンは後継機と位置づけているようですが、操作性やシャシーはあくまで「二桁D」の域は出ておらず、APS-Cセンサーのフラッグシップと位置づけられていたEOS 7D MarkIIとはかなり異なる「単に連写速度と画素数を無理やり上げただけのカメラ」で、個人的にこれを後継機とは認めていません。

R5は高すぎて、R6は画素が少なすぎる

このサイトを見たことがある方はご存知かもしれませんが、私はバレーボールというアリーナスポーツの撮影を趣味にしています。アリーナスポーツは、体育館という蛍光灯またはLEDによる人工光源だけを頼りに撮影をするのですが、明るさはまちまちで、ただ間違いなく屋外よりは暗いです。したがって、ISO感度は高く、シャッタースピードは速くしたいですし、座席の位置にもよりますが、焦点距離は35mm換算で200~300mm程度が欲しいです。

焦点距離300mmでシャッタースピードを1/750~1/1,000程度にしようとすると、開放絞りはf2.8が望ましく、これをキヤノンのフルサイズ機で実現するとなるとEF 300mm F2.8 L IS II USM(通称サンニッパ)という、新品で60万はくだらない上2.3kgもするクソ重いレンズを用意しなくてはなりません。ちなみに、ミラーレス用のRFマウントにはこのサンニッパはまだない(2020年7月時点)ので、マウントコンバーターを通して使うことになります。

安い開放F4のレンズもありますが、F2.8がF4.0になると、同じISO感度に設定していると一段分、わかりやすく言うとシャッタースピードが半分になります。F2.8 1/1000 ISO2500であれば、F4.0 1/500 ISO2500にまで低下します。シャッタースピードを遅くしたくない場合はISO感度を倍にする方法もあり、F2.8 1/1000 ISO2500であれば、F4.0 1/1000 ISO5000となります。ただし、ISO感度は上げれば上げるほど少ない光から強引に写真をつくることになるため画質が低下します。ノイズが増えたり、鮮明度が低下するわけです。さらに、ISO感度をシャッタースピードを少しづつ変える方法も取ることができます。
たとえばISO感度を2/3段上げて、シャッタースピードを1/3段遅くすることで、F4.0 1/800 ISO4000といった感じです。逆にISO感度を1/3段だけ上げて、シャッタースピードを2/3段遅くするなら F4.0 1/640 ISO3200という設定でも同じです。

要は何を最も重視するかという話なのですが、多少被写体ブレが出ても画質だけは落としたいのか(シャッタースピードを半分にしてISO感度は変えない)、いやいやスパイクの瞬間がビタッと止められてなければダメでしょう(ISO感度を倍にしてシャッタースピードは変えない)なのかでどちらの設定にするかを決めることになるわけです。

ISO5000の画質が確保できるのであれば後者のアプローチはアリなのですが、EOS 7D MarkIIは高感度画質がうんこなのが最大の欠点であり、RAW現像を必須にすることでISO2500をギリ常用可能としています。本音を言えば、EOS 7D MarkIIで許容できるISO感度は800までです。1,000以上は「やむなく」設定する領域です。
なので、新機種のISO5000がEOS 7D MarkIIのISO2500を画質で明らかに凌駕できているのなら魅力です。

閑話休題。
そして、F2.8 300mmのレンズをR5と組み合わせると、カメラ+レンズ1本で100万円をあっさり突破します。この価格はいくら趣味とはいえ無視できるものではありません。サンニッパ1本じゃさすがに使い勝手が悪いので、他にレンズが必要になるのもめんどくさいです。
レンズメーカー製に目を向けると、シグマに120-300mm F2.8という極めて使い勝手がよく30万円ちょっとで買えるズームレンズがあるので、もし300mmの焦点距離が必要になったらこちらを購入することになるかもしれませんが、このレンズは前述のサンニッパを凌ぐ長さと重さを誇るので、できれば避けていきたいです。

では価格が抑えられているR6はどうかということですが、今度は2,000万画素という控えめな画素数がネックになってきます。
今持っているEF 70-200mm F2.8 L IS II USMを使う場合、焦点距離がフルサイズ比で1.6倍換算になり112-320mm相当と扱いやすいAPS-Cフォーマットとは異なり正真正銘の200mmまでしかないため、ある程度のトリミングが前提になります。アリーナスポーツで200mmというのは絶妙に「足りない」焦点距離なんですね。

そして、仕上がりの解像度をEOS 7D MarkIIと同等にしたい場合、トリミングを前提とするなら元の画素数が3,000万画素はないと厳しいのですが、なにしろR6は「たった」2,000万画素しかないので、この点ですこし不安が残ります。

トリミング前提の撮影に潜む罠

そして、アリーナスポーツを撮るにあたって、トリミング前提の運用にはもうひとつ画質に絡む問題があります。
それは、露出が不正確になりやすいというものです。

現代のカメラの露出は、基本としては画面全体の明るさを見て適正露出を決める評価測光が使われます。そして、アリーナスポーツはコートはそれなりに明るく照らされるものの、客席にはそこまでの明るさは必要がないので、コートと明暗差が生まれがちです。で、焦点距離が足りないということは必然的にファインダーにはコートだけでなく客席も入りやすくなります。

おわかりでしょうか。つまり、評価測光の仕組み上、明るいコートと暗い客席の両方を「評価」してしまうのです。ある程度はフォーカスした部分に重点を置くのですが、それでも換算320mmと200mmでは全く同じシーンを撮っても明るさに差が生まれやすいのです。

さらに、アップで捉えたい場合にトリミング前提だとどうしても解像感が損なわれがちになるとか、ピントがビシっと来た写真が撮りにくい(腕の問題もありますが)、レンズとカメラをひっくるめたシステム全体が高価で重く大きくなるなど、フルサイズはとかく問題があります(フラッグシップ機であればこの問題はかなり解消されます)。

望遠を手軽に楽しめるAPS-Cの魅力

そこそこの値段で、(フルサイズ比で)軽く小さく安価で楽しめる上、レンズのおいしいところだけを使えるAPS-Cセンサー機には「高感度耐性がフルサイズセンサーよりも低い」「絶対的な画質で敵わない」など乗り越えられない壁はあるものの、望遠側に強いAPS-Cにはそれだけで存在価値があると思うのです。

広角側がスマホに占拠されつつある今、レンズ交換式カメラに残されているのは望遠側であり、それはキヤノンも600mmや800mmといった超望遠レンズを、F11固定というとてつもなく深い絞りで明るさを犠牲にしてでも安価に提供しようという姿勢からも理解していると思います。かつ、2倍エクステンダーを付けて1600mm F22というフィルムカメラでは考えられないほど暗い状態でもAFが問題なく作動するというR5/R6の仕様は、これまでにはなかった写真の新しい地平を切り開くものです。

で、もしAPS-Cセンサーを搭載したEOS R7というカメラが出たら、さらに1.6倍の2,560mm相当というわけのわからない焦点距離さえ実現できるでしょう。ロマン以外のなにものでもないですが。

それは極端な例としても、軽量で値ごろ感のあるカメラシステムで手軽に楽しめる望遠の世界を実現するためにも、EOS R7なりEOS 7D MarkIIIなりを出してもらいたいと切に願っています。

なんだったらAPS-H復活でもいいぞ

性能と価格という意味では、実はEOS-1D MarkIVというAPS-Hフォーマットのカメラもありっちゃありなんですが、さすがに古すぎるのと、EOS-1D系はプロ登録していない場合メンテも修理も調整もとにかく高いので使い捨てる勢いでないとならないんですよね。昔、EOS-1D MarkIIIを使ってた頃、へたってきたシャッターユニット交換を考えて新宿にあったキヤノンのサポートセンターに行っって相談したら最低でも5万、ミラーボックス周辺もへたってたらもろもろ交換で7万以上とか言われて諦めたなんてことがあるんで・・・。
まぁAPS-Hのセンサーなんてキヤノンも開発・製造してないと思うんでそれはまぁないと思います。1.3倍換算っていうのも中途半端なんで。

なので、マジでEOS R7は待望してます。噂では今年末~来年春ごろの見込みがあるとかないとか。ニコンもZマウントでAPS-C機を出してるし、ソニーはα7系ではないもののEマウントのAPS-C機もあるので(エントリーのみだけど)、可能性はあると思う一方で、カメラ市場が凄まじい勢いでシュリンクしている現状で全方位戦略を取れるだろうかという懸念もあります。ましてキヤノンはマーケティング絶対主義な会社なので。

急速に萎むカメラ市場のカンフル剤に

とはいえ売れないから利益率の高いハイエンドばかりだとさらに市場が縮小していって価格だけがじりじり上がっていくタクシー業界みたいなことになってしまうので、手軽に望遠の楽しみをミラーレスで実現できる機械はマジ欲しいですし、でないとEOS 7D MarkIIの中古を探すハメになってしまいます。既に40万枚はくだらないシャッター数の我が7D MarkIIはいつ壊れてもおかしくないので・・・。

出なかったらどうするの?

カメラをやる人もメーカーも、どうもAPS-Cを「中途半端でフルサイズを使えない人がしかたなく使う安物でフルサイズこそ正義で絶対で真理」みたいに考えてるフシがあり、そういう向きにしてみたら「APS-Cフラッグシップってなんやねんwww」かもしれず、そうであると二桁DシリーズをRFマウントに変えておしまいみたいな暴挙に出ないとも限りません。

もしそうなったら、R6+マウントコンバータにして望遠時は1.4xのテレコンという形にすると思います。
なにせR6はキヤノンの正真正銘のフラッグシップ機、EOS-1DX MarkIIIのセンサーをベースにしてるそうなので。

ただ、R5/R6ともソニーのα系に比べてバッテリーの持ちが半分程度と異常に悪いので、ファームウェアで改善されてくれないと最悪EOS-1D X MarkIIの中古ということになるかもしれません。CFastもCFもSDXCカードに比べてバカ高いのと、修理するとなると修理代金までプロ仕様なのがマジ嫌なんですけどね。ただ、壊れさえしなければ14枚/秒というR5/6を軽く凌ぐ連写速度、堅牢なボディ、安心の大容量バッテリー、最初から縦位置グリップ込みという利点に加えて、プロフェッショナルの商売道具であるがゆえの安心感は、バッテリーが信じられないレベルで保たないという明確な欠点があるR5/6とは全く異なる安心感があります。

正直R6もいいなと思ってたんですが、あまりにもバッテリの持ちが悪いので見送ろうという気になってきました。保たない保たないってお前どんだけ一日に撮ってるんだという声がありそうですが、そうですねー。一日2試合がフルセット(=10セット)になると、軽く8,000枚くらいにはなる感じです。ね、保たないでしょ? ちなみにEOS 7D MarkII+バッテリーグリップ(つまりバッテリー2本)だとこの枚数撮ったときでバッテリー残量が10%残るかどうかです。

なので、ファームウェアのアップデートでバッテリの持ちが倍くらいになってくれるか、サードパーティ製互換バッテリへの締め付けが緩くなってくれないと厳しいっす。

どうにもならなかったらα7RIVかなぁ(妄想