RAWオンリー撮影のススメ

2019年1月5日

JPEGは完成品、RAWは素材

2年位前から、撮影するときにJPEGで撮らなくなりました。
そうしたことによって、HDDの使用量は劇的に増えましたし、JPEGのときほど無限にシャッターを切り続けることもできなくなりました。
それでもRAWだけで撮影するのは、それだけのメリットがあるからです。
もっとも大きいのは、後加工が容易であることと、カメラの「最大限」を引き出せるということです。

JPEGは、カメラ内のシステムでシャープネスや彩度、ホワイトバランスを調整して、JPEGフォーマットで出力するもので、いわば完成品です。
ただ、その完成度に納得できなくても、あとから味を変えるのは容易ではありません。
中でも、もっとも難しいのがホワイトバランスです。

人工光源はホワイトバランスが難しい

たとえば、体育館の光源は、主に蛍光灯です。
しかも、いろいろな色の蛍光灯が組み合わさっているのがほとんどです。
すると、ホワイトバランスを合わせるのが難しくなってきます。
グレーカードという、ホワイトバランスをあわせるためのカードもありますが、あれは、「被写体と一緒に撮っておき、その場所の光源に合わせたホワイトバランスを得る」ためのものなので、所によってホワイトバランスがまるっきり変わってしまうような広い場所(体育館とか)ではあまり役に立ちません。

いまどきのカメラのオートホワイトバランスはとても優秀ですが、それは自然光源での話で、今でも人工光源でホワイトバランスを取るのは苦手です。

ノイズ処理もカメラはやや雑

ノイズ処理も難しい処理のひとつです。
EOS 7D MarkIIというカメラの最大の欠点に「高感度ノイズの多さ」が挙げられます。
発売時期(2014年10月)を考えると、同クラスのカメラの中では飛び抜けて高感度ノイズが多いです。
RAWで撮ると、カメラ側でノイズ低減処理をする前のすっぴんの写真を見られるのですが、古いスマホかよというくらいノイズが乗っています。
このノイズ、消そうと思うとどうしてもディティールがなくなっていくので、ほどよい強さで消したいところですが、カメラ側でのノイズ処理はあまり上手ではありません。

レタッチ処理をすればするほど傷んでいくJPEG

これらの色補正やノイズ処理、色調補正などはPhotoshopをはじめとするフォトレタッチソフトで修整することができます。
しかし、JPEGファイルに対するレタッチは、カメラが調理した完成品の料理をいじるものなので、いわば運ばれてきたラーメンにコショウやにんにく、豆板醤をかけて味を変えるようなもの。
もとのラーメンがダメだったらどうにもなりません。

RAWデータは重いしでかいし現像はめんどくさい

これに対して、RAWデータは、カメラのセンサーが拾った光を基本無加工で記録したものです。
RAWデータのままで使うことは想定しておらず、別途ソフトウェアで「現像処理」をしてJPEG形式なりにしてから使うことになります。
つまり、カメラがやっているホワイトバランス処理やシャープネス、彩度の調整などの諸加工をすべてユーザーがするための「素材」です。
ハッキリ言って面倒だし時間もかかるし、ハードディスクはすごい勢いで減ります。
クラウドで保存なんて問題外です。
けれど、それに見合うだけの仕上がりを得ることができるのが最大の魅力です。

非常にたくさんのパラメータを変えて自分好みの画像を作れる

RAW現像ソフトには非常にたくさんの機能があります。
多くは、カメラに内蔵されている機能ではありますが、ひとつひとつが研ぎ澄まされているのが特長です。
そうでなければわざわざ別ソフトになってる意味ないですが。

下の画像は、Adobe Photoshop Lightroomの画面です。
上が撮ったままのRAW画像。
中が各種パラメータを設定した画像。
下が、さらにトリミング処理をしたあとダウンサイジングして書きだしたJPEG画像です。クリックすると、各設定時に書き出した画像を見ることができます(Photoshopで縮小処理だけしています)。

各種パラメータを設定、と言うと、毎度毎度一枚一枚設定しなくてはならないように思うかもしれませんが、このパラメータは使いまわせます。
過去に同じ場所で撮影していて、現像したことがあれば、1年前のファイルだろうがその現像パラメータを持ってきてワンクリックで現像することが可能です。
なので、ワークフロー全体で言えば、最終画像ができるまでの手間は実際のところJPEGとあまりかわらないというのが実感です。

また、RAW画像の現像というのは、すべての設定と処理を最後にまとめて一度だけ処理します。画像そのものに手が入るのはその最後の出力時だけのため、画質の劣化は最小限で済みます。
さらに、あとからパラメータを差し替えて再現像、なんてこともカンタンにできます。RAW画像そのものを修整してしまうことがないのでこういうことが可能なわけです。
ホワイトバランスを「蛍光灯」に設定しても、一発でこの色合いを実現することはおそらく不可能です。多少時間はかかっても、納得行く絵が欲しい人は、一度RAW現像を試してみることをおすすめします。

おすすめは、Adobe Lightroom Classicを含む『Adobe CCフォトプラン』。
月額980円で、LightroomどころかPhotoshopまで使い放題、さらに最新版へ完全フリーアップデートという、写真を撮る人にしたら夢のようなプランです。