美しすぎる五色桜大橋&江北ジャンクションを撮ってきた
荒川に架かる「世界初」の橋
東京を代表する川、隅田川。この川には駒形橋、蔵前橋、清州橋、隅田川大橋、永代橋などなど、有名な橋がたくさん架けられていますが、東京を代表するもうひとつの川である荒川にも多くの橋が架けられています。
中でも、今回紹介する「五色桜大橋」は世界初の構造を持つ橋です。
なんともロマンチックなこの名前は、付近の荒川堤一帯に文字通り五色の桜が咲き誇っていたことから付けられたそう。
夜のこの橋がとっても綺麗だということで、寒くなってきた11月下旬に撮りに行ってきました。
世界初の構造、といってもその道の専門家でもなければ言われないと分からないのでざっくり解説しておきます。
橋というのは、基本的に橋桁は1面――というかひとつで、一般的には対面通行ですよね。しかし、五色桜大橋は上りと下りが別々の路面となる2層構造になっています。
とはいえ、2層構造というだけならさほど珍しくもありません。横浜ベイブリッジは有料道路区間の下に一般道区間を設けていますし、レインボーブリッジも自動車道の層とゆりかもめの層があります。
しかし、がっしりとした肉厚なアーチと、橋桁の間に斜めに走るワイヤーで強度を保つ「ニールセンローゼ」構造の橋の中で、世界で初めて二層の橋桁を備えたのがこの五色桜大橋であり、その構造名が「ダブルデッキニールセンローゼ橋」となったというわけです。V.S.O.P(ベリースペシャルオールドペール)より声に出して読みたいカッコいい名称です。
ほかにも「通過するクルマの振動を電力に変える振動発電装置を設置し、昼間蓄えた電力を夜間のライトアップに使う」という野心的な試みが行われています。
イベント会場などでときどき見られる振動発電装置ですが、五色桜大橋ではこれを常設装備として設置しており、構造面からも環境負荷低減の面からも、非常に意欲的な建造物だと言えます。
ひとけのない場所にぽつんと架かってる橋の割にがんばってます(ひどい)。
さて、この橋ですが、公共交通機関を使って行く場合、主に3通りの行き方があります。
ひとつは、赤羽駅から都バス(東京女子医大 足立医療センター停留所 下車徒歩10分)。次に、王子駅から都バス(荒川土手停留所徒歩3分)。もうひとつは、舎人ライナー扇大橋駅から歩き。
歩きは10~15分くらいかな。そこそこ距離あるので、さくっと行きたいのであれば、京浜東北線王子駅からバスに乗り「荒川土手」停留所で降りるのが楽でいいです。
揺れる橋で長時間露光撮影
五色桜大橋を綺麗に撮れるポイントはいくつかありますが、今回は荒川土手停留所からすぐの場所にある江北橋から撮ることにしました。
南側から北側を撮る格好になるので、 江北橋からはるか南東にある東京スカイツリーを入れ込んだ形で撮ることはできません。
橋のまんなかあたりで三脚を広げるわけですが、この橋、歩道も自転車で通る量がそこそこあり、かつ、歩道がそこまで広くありません。
ですので、できるだけ三脚の足を広げないようにしつつ、邪魔になりそうならさっと退かすようにしましょう。
また、この橋は路線バスの通り道であり、ダンプの類もそこそこ通ります。
何が言いたいかというと、揺れます。
揺れは夜景、より正確に言うなら長時間露光撮影の天敵ではありますが、これはもうどうにもなりませんので、バスが来ないことを祈りながらリモートレリーズを押し込みましょう。バスが通り過ぎて揺れが収まってきた頃が狙い目です。
なお、川幅が広いので、きれいなリフレクションが得られるとは限りません。
川面のリフレクションについてはあきらめが肝心です。
理論上は3分とか5分とかシャッター開けておければそれなりのリフレクションにはなると思いますが、揺れて台無しになるのも確実です。
揺れなく撮れれば御の字くらいに思っておいたほうがいいでしょう。
江北ジャンクションと組み合わせて曲線美を堪能
この橋は、川の東側で江北ジャンクションと繋がります。このジャンクション、箱崎のようなゴチャゴチャ系ジャンクションとは真逆の、緩やかな曲線を横方向に描くたいそう美しいジャンクションで、同じく優美な円を縦に描く五色桜大橋と組み合わせて撮ると、上品なライトアップはもちろん、近隣に目立つ建物がないためより美しさが引き立てられてとってもエモいです。
超広角レンズを使い、江北橋東側から撮るとこんな絵が撮れます。
これを撮ったのは11月とかで、もういい加減寒かったんですが、このコンビの魅力にもう一枚あと一枚と撮ってしまい、終わったらマジ寒かった。
河川の街・江戸を彩る橋たち
上で名前を挙げた隅田川や荒川に架けられている橋たちは、東京オリンピックまでに順次耐震補強や高耐候性塗料による塗り替えやライトアップを施して、観光資源として東京の魅力をアップさせようという取り組みがされており、この五色桜大橋も、昼に振動発電で貯めた電気も使って夜間ライトアップされています。
無数のリベットが打たれていてザ・鉄橋というたたずまいの勝鬨橋をはじめとするクラシックスタイルな橋とは異なり、金属質な感じを受けない五色桜大橋は、近代的な印象を受ける白く優しいゆるやかなアールを持つアーチの内側をオレンジ、外側はブルーの照明で控えめに照らされており、端的に言って「美しい」です。下品にビカビカ光られても周囲の環境との親和性というものがあるので、あれで正解だと思います。
まわりになんにもないので、軽く立ち寄る程度になるでしょうけど、ドライブデートの際に寄ってみてはいかがでしょうか。
「この橋はさぁ~世界初のダブルデッキニールセンローゼ橋で~振動発電装置もあるハイテク橋で土木学会田中賞を受賞したんだーすごいよね!あとこのアーチの曲線がさぁ~」とか言うと「ちょっと何言ってんだかわかんないんですけど」と言われますのでご注意ください。「なんで何いってっかわかんねぇんだよいっぱい説明しただろうがよ」と返していいのはあなたが伊達ちゃんで相方が冨澤の時だけです。
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