夜のテレコムセンタービルで夜景ハンティング

2019年2月8日

I’m テレコムセンター

東京臨海副都心の南、大江戸温泉物語の隣にガラス張りの巨大なビルがそびえ建っています。
きらびやかな外観の近未来的なビルには、対照的にビルの中腹の目立つ場所にでかでかと 「テレコムセンター」 と名札がついています。と。自己主張の強いビルもあったものですが、そういえば近くにある東京ビッグサイトもあの逆三角形のボディに「TOKYO BIG SIGHT」と書かれていますし、東京ドームもわりとはっきり「TOKYO DOME」と書いてあります。名乗るのが普通な時期があったんでしょうか。
そんなテレコムセンタービルは、1995年に江東区青海に建てられました。ちなみに青海は「あおみ」と読みます。よく似ている青梅(おうめ)と間違えがちなのでご注意ください。

派手なようで家庭的

湾岸開発のはしりとして、フジテレビ新社屋より1年早く開業したテレコムセンターは、開業当初は東京MXテレビなどメディア関係企業が多数入居していましたが、現在では耐震構造・無停電設備を売りに、データセンターや各種通信の重要拠点として稼働しています。テレコミュニケーションセンターという名前どおりの仕事をしているわけですね。

ゆりかもめ「テレコムセンター駅」直結

地上21階地下3階、最高99m、延床面積15万平方メートルの建物は、外壁に耐力壁でないガラスをはめこんだ「ガラスカーテンウォール」構造となっており、鏡面加工されたガラスは近隣のビルの姿や夏の雲を写しとっています。
パリの凱旋門をイメージしてデザインされたというどっしりとしたガラス張りの外見は近未来的で見栄えがよく、ドラマの撮影などでもしばしば使われてはいますが、基本的にはオフィスビルであり、近年よく見られる「低層階は商業施設、高層階はオフィスビル」という造りになっていないため、週末はほとんど訪れる人もなく、派手な外観とは対照的に落ち着ける場所となっています。ギャル風でありながら家庭的みたいな。

開放感ある1階からの眺め。ただし夜を除く

絶対なんか出てくるやつだ

1階アトリウムに入るとまず目を引くのは、幾何学的な模様の床と、5階相当まで抜けた頭上の円形の吹き抜け。
パラボラアンテナをイメージしたという網目のような天井からは、昼は陽の光が差し込みますが、夜となると光を吸い込むかのようにただただ暗く、不気味な雰囲気を醸し出します。照明が暖色系ではないせいで、怜悧な印象なのも一因でしょう。ハンドヘルドコンピュータをいじったら悪魔を召喚できそう。

昼の顔
夜の顔

テナント企業の入居者でない一般人が入れるのは、このロビーと1階にあるいくつかの店舗を除けば21階にある展望台フロアだけで、その店舗もコンビニとかカフェとかクリニックくらいで、しかも週末は多くが休みとなるため、週末に訪れるとびっくりするくらい人がまばらです。
そんなビルに展望台があることのほうがむしろ意外ですが、開業当初は国際会議場やイベント・展示会スペースなど、東京ビッグサイトとパシフィコ横浜を足したような幅広い活用を想定していたとのことなので、その名残がこの展望台なのかもしれません。地方から出張でやってきた人に湾岸の夜景を見てもらおう的な。

ワンコインでたっぷり楽しめる「日本夜景遺産」の展望台

その展望台へは、2階からの展望フロア直通専用エレベーターを使って上がります。こんなところだけ六本木ヒルズの展望台と同じシステムです。
無料でこそないものの、六本木ヒルズ展望台の1/3以下と激安な500円を払って展望台へ上がると、平日の夜だったこともあってかこの日はなんと無人。あとから数人訪れる人がいたものの、大丈夫かここ、とかえって心配になりました。

「日本夜景遺産に登録!」という触れ込みにしては寂しい限りですが、そもそもここ自体が六本木ヒルズのような商業施設とは正反対なオフィスビルであり、食事とお酒が楽しめるような場所が展望台フロアにあるレストランバーくらいしかない上、その店もこの日は休業中(2018年12月現在は営業中)、近隣にある集客力のある施設といえば大江戸温泉物語くらい、夜景を楽しみたいならお台場でも十分楽しめるとなれば、ここに来るのは「展望台からの夜景を見たいというだけのためにわざわざ来る奇特な人(=自分)」ということになります。そりゃあ無人もしかたない。ま、見方を変えれば「ワンコインで湾岸の夜景を独り占め」ですよ。

都内の名所を多数カバーする展望台からの眺望

フジテレビ本社+レインボーブリッジ+東京タワーの全部入り

ぐっと抑えられた照明の展望台からは、遠く東には「恐竜橋」の異名を持つ東京ゲートブリッジ、北東にはパレットタウンの観覧車と東京スカイツリー、北にはフジテレビ社屋とレインボーブリッジ、さらにはその先にある東京タワーまでが見られ、おまけに南東側の眼下にはオレンジ色の照明に照らされたコンテナ集積場までもが見られます。コンテナ集積場にはガントリークレーンも設置されているので、昼間なら長いアームが動くさまを見ることもできるでしょう。とどめに、運がよければ、東京ディズニーランドの花火も見られるとのこと。

眠らないコンテナを抱いて

さすがは「日本夜景遺産」に選ばれるだけのことはあるポテンシャル。無料の大型双眼鏡もありますし、スマホでも十分に美しい夜景を撮影できます。

パレットタウン大観覧車と、スカイツリーがひょっこりはん

夜景だけのために行くのはちょっと躊躇われますが、機会があればぜひ一度行ってみてほしい場所です。

ガントリークレーンが待ってるぜ!

撮影DATA BOX

名称テレコムセンター展望台
住所東京都江東区青海2丁目5−10
営業時間 平日 15:00~21:00(最終入館20:30)
土日祝 11:00~21:00(最終入館20:30)
定休日 月曜日(祝日の場合、翌営業日)
料金 500円
備考三脚・リモートレリーズ・忍者レフ使用可
使用機材Canon EOS 7D MarkII
Sigma 10-20mm EX DC HSM
Canon EF24-105mm F4L USM