ライトアップされる都庁をタイムラプスで撮ってきた
東京都庁第一本庁舎といえば、高さ243mにもおよぶ日本有数の高層ビル、かつ日本で指折りの高価な庁舎です。
日本が世界に誇る建築家・丹下健三によって設計された、新宿に聳え立つ左右対称のコンクリートの城は、色とりどりの光によってライトアップされることでより迫力を増します。
ちょっとファンシーになったりもします。
昨年後半はほぼずっとなんらかのライトアップがされていたのですが、今年に入ってからはペースがぐっと減ってしまいました。
で、先週の6月12日~16日まで「ラグビーワールドカップ 2019 日本大会100日前」を記念したライトアップがされていたので、いそいそと撮りに行ってきました。
近すぎる?都民広場
ライトアップされた都庁をちゃんと撮れる場所というのは実はそれほど多くありません。これはGoogleMapで見た都庁周辺図です。道路さえもなにげにけっこう立体的なんですよね、このへん。
都庁全体がライトアップされるわけではなく、正面側の壁面と左右に突き出した尖塔部分のみが照らされるため撮れる角度が限定されるということと、周辺に高層ビル、それもオフィスビルが多く(真正面は都議会議事堂)、そもそも気軽に入れないためです。
そのため、まともに撮れるのは都議会議事堂と都庁舎に挟まれた扇形の「都民広場」くらいになってしまいます。現に、ここを撮りに訪れる人はここで三脚を広げたりスマホを向けたりしています。
2022.3.6追記:
都民広場での三脚使用ができなくなったそうです。
これまで長らく問題なかったところが急にダメになるのは、誰かが無茶苦茶したからでしょうか。
三脚以外の方法で撮ればいいだけかもしれませんが。
この都民広場、いつでも誰でも自由に利用でき、三脚も使えるとてもありがたい場所なのですが、「近すぎる」という難点があります。縦でならともかく、横位置で撮ろうとするとかなりの超広角レンズでないと全体を捉えきれない上、かなりのアオリ撮影になってしまいます。もっとも、それでもなおかなりの迫力があるのがさすがの丹下健三建築。
横位置でちゃんと撮ろうとした場合、使うレンズの目安としては、35mm換算で16mm。APS-C規格なら10mm、マイクロフォーサーズ規格だと8mmという表記のものですね。
フルサイズ一眼の16mmとなると安価なレンズがなかなかないのですが、APS-Cの10mmであればSIGMAの「10-20mm F3.5 EX DC HSM」がおすすめです。安価だけあり周辺の色収差と周辺部の流れが大きいのですが、縮小すればさほど目立ちませんし、RAW撮影してLightroomなどで補正すれば色収差についてはほぼナカッタコトにできます。
タイムラプスに挑戦してみた
都庁は過去に何度も撮っていて、撮れるスポットもアングルも撮れる絵のイメージもおおよそわかっています。
つまり、ふつうのやり方に飽きてくる頃です。
なので、今回はタイムラプス動画に挑戦してみました。
といっても追加で必要なアイテムはなにもありません。いつもの三脚とEOS 5D MarkIV、EF16-35mm F4L IS USMだけです。ここの場合、レンズもこれ一本しか持ってきません。
タイムラプス撮影と通常の夜景撮影で異なるのは、「シャッタースピードがタイムラプス撮影(EOSでは『インターバル撮影』)の撮影間隔を超えないようにする」ことくらいです。「絞り優先AE」モードということもいっしょです。
タイムラプスというのは、全く同じ場所で、たとえば10秒に1回シャッターを自動で切るインターバル撮影機能を使って、時間の移り変わりによる明るさや情景の変化を動画にするというものです。なので、シャッタースピードがインターバル時間を超えてしまう(10秒間隔で12秒のシャッタースピードとか)と困るわけです。
明るい時間帯ならまず1秒以上になることはないので大丈夫ですが、陽が落ちて幻想的なマジックアワーを越え、夜の帳が落ちる時間帯になるとシャッタースピード10秒などかんたんに超えてしまうのが夜景撮影なので、あらかじめ余裕を持たせた設定が必要になるわけです。
シャッタースピード優先AEモードを使えばシャッター速度が10秒を超えることはなくなる代わりに絞りが変わるためピントが合う範囲が異なった写真(どんどん被写界深度が浅くなる)ができあがってくるのでナシ。
マニュアルモードはいわずもがなです。ちょっと明るさ変わるたびに設定変更を、しかも10秒間隔の中でばらつきなく行うなど狂気の沙汰です。
撮影間隔を20秒などにしておく方法もありますが、時間経過を滑らかに表現したかったのと、1時間程度の撮影時間を予定しており、仕上がりの秒数を考慮するとあまり枚数を減らしたくなかったので、撮影間隔は10秒にセットした上で撮影設定を変えることにしました。
具体的には、通常のここでの設定から「ISO感度を100から160」に2/3段、「絞りを11から8」に1段、それぞれ変えました。これで都合1.6段分明るくなり、計算上シャッタースピードが3倍ちょっと速くなります(20秒なら6秒になる)。
結果的に、一番暗い時間帯でもシャッタースピード 6秒に収まりました。
いまだかつてないヒマな撮影タイム
この日のライトアップは19:00からで、およそ10分前から撮影開始。
タイムラプスの撮影というのは一度開始してしまうとアングルの変更も場所の移動も試行錯誤もできず、ひたすら待つことしかできません。
なので、実のところものすごいヒマです。
暗くなってくると本は読めなくなるので、スマホで電子書籍とかそういう暇つぶしが必須になります。スマホでたまに撮影してLINEで誰かに投げるとかね。
シャッター音を聞きながら、暗くなってきたタイミングでシャッタースピードが問題ないかどうかを確認して、一度だけ絞りを1/3段上げて(8→7.1)、問題なさそうなので戻して(7.1→8)タイムラプス撮影終了。
その後は、扇形に広がった広場の外周に沿って何箇所かで撮って撤収。
いつか真正面で対角魚眼使って撮ってみたいものです。
後処理はLightroomとPremiereで
タイムラプスは、静止画より後工程がやや多くなりますが、この記事ではその過程は一旦すっとばします。
モロモロのアレコレをしてできあがったのがこちらの動画です。
今回は4K(3820×2160)でエンコードしましたが、3040万画素(6720×4480)のEOS 5D MarkIVで撮影した静止画を動画化しているので、5K(5120 × 2880)、それどころかAppleが先日発表したPro Display HDR(6016×3384)のフルスクリーンでもなんら問題のない超高画質動画を作れます。8Kにもちょっと届かないですね。ソニーのα7RIIIあたりだと4,000万画素越えてくるので8Kでもイケます。
よく見ると画面がじわじわと下から上へパンアップしていますが、もちろん撮るときは動かしていません。
動画(16:9)と静止画(3:2)で縦横比が異なり、現像してできあがった静止画をそのまま動画にすると上下が切れてしまい、都庁の全体像が出せないのでじわじわと動かしました。
15秒の動画作るのに完全場所固定で1時間まるまる放置することになるので気軽には撮れませんが、この気持ちよさはハマりそう。
とりあえず東京ゲートブリッジ行ってきますね^^^^^
以前撮ったやつはちょっと納得行ってないので・・・。
なお、都庁のライトアップについてはこちらの広報ページにて予告されます。
では、みなさまよき夜景ライフを。
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コメント一覧
都民広場、今は三脚禁止ですって。
情報ありがとうございます。
なにがあったんでしょうね・・・。